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【令和8年度診療報酬改定】医療DX推進体制整備加算の見直しを徹底解説|電子的診療情報連携体制整備加算の新設・医療情報取得加算の廃止・診療録管理体制加算の再編等
令和8年度 診療報酬改定

【医療DX推進体制整備加算】見直しを徹底解説
電子的診療情報連携体制整備加算の新設・医療情報取得加算の廃止等

医療情報取得加算・医療DX推進体制整備加算を廃止し、電子的診療情報連携体制整備加算を新設。診療録管理体制加算を3区分→2区分に再編。

公開日:2026年2月22日 | 辻本公認会計士事務所(医療機関専門・全国対応)

【出典・免責事項】本記事は、2026年2月13日に中央社会保険医療協議会(中医協)が厚生労働大臣に答申した令和8年度診療報酬改定の内容に基づいて作成しています。正式な告示・通知は今後公布される予定です。内容には細心の留意を払っておりますが、記載の内容をもとに生じたあらゆる損害に関して、一切の責任を負いません。

令和8年度診療報酬改定において、医療DX推進体制加算が大幅に再編されます。
従来の「医療情報取得加算」と「医療DX推進体制整備加算」が廃止され、これらを統合・発展させた「電子的診療情報連携体制整備加算」が新設されます。
新制度では、医療DX関連の各サービスの進捗状況を踏まえて、更なる普及を図るべき取り組みに着目した評価が行われます。電子処方箋の発行体制や電子カルテ情報共有サービスの活用体制の有無に応じて3段階の評価区分が設けられ、初診時は最大15点、再診時は2点が算定可能です。
あわせて、入院料加算としても電子的診療情報連携体制整備加算(最大160点)が新設され、診療録管理体制加算の再編(3区分→2区分)も行われます。
本記事では、改定の背景、具体的な変更内容、施設基準の要件、実務対応まで解説します。

1. 医療DX関連加算の現行制度と経緯

医療DX関連の診療報酬加算は、オンライン資格確認の導入義務化を起点として段階的に整備されてきました。現行制度では、主に「医療情報取得加算」「医療DX推進体制整備加算」「診療録管理体制加算」の3つの加算が存在しています。

【現行の医療DX関連加算】

医療情報取得加算:初診 1点(月1回)/再診 1点(3月に1回)オンライン資格確認による情報取得・活用の評価
医療DX推進体制整備加算:初診時 加算1~6 8~12点(電子処方箋対応・マイナ保険証利用率等に応じた6区分)
診療録管理体制加算(入院初日):加算1 140点加算2 100点加算3 30点(サイバーセキュリティ対策等を含む)

令和6年度改定からの経緯

令和6年度改定で医療DX推進体制整備加算が新設されました。その後、マイナ保険証利用率基準による点数傾斜が設定され、令和7年4月には電子処方箋管理システムへの登録体制有無による区分変更が行われるなど、短期間に度重なる見直しが行われてきました。

2. 改定の背景:なぜ加算体系が再編されるのか

令和8年度改定に向けた中医協の議論では、医療DX関連施策の進捗状況を踏まえ、加算体系の整理・再編が検討されました。

【改定の趣旨】

医療DX関連施策の進捗状況を踏まえ、普及した関連サービスの活用を基本としつつ、更なる関連サービスの活用による質の高い医療の提供を評価する観点から、診療録管理体制加算、医療情報取得加算及び医療DX推進体制整備加算の評価を見直す。

【中医協の主な議論】

  • マイナ保険証の普及進展:マイナ保険証を用いた質の高い医療の提供が進んでいるが、ITに不慣れな患者への対応による負担が増加している
  • 電子処方箋の普及促進:電子処方箋活用で、オンライン診療・服薬指導がスムーズに実施できる。また、重複投薬等チェックにより用法・用量を大きく超えた処方を防ぐことができる可能性がある
  • 電子カルテ情報共有システムの運用開始:2026年夏までに具体的な普及計画を策定し、運用開始を目指す
  • サイバーセキュリティ対策:医療機関を対象としたサイバー攻撃が相次いでいるが、情報セキュリティの統括責任者について情報処理技術の資格の取得者が少ない状況

これらの議論を踏まえ、今回の改定では従来の複数加算を「電子的診療情報連携体制整備加算」に統合・再編するという大規模な体系見直しが行われました。

3. 変更点①:電子的診療情報連携体制整備加算の新設(外来)

医療情報取得加算及び医療DX推進体制整備加算を廃止し、初診料・再診料・外来診療料の加算として「電子的診療情報連携体制整備加算」が新設されます。

初診料の加算(3段階)

【電子的診療情報連携体制整備加算(初診料)】

加算1:15点(月1回)電子処方箋等+電子カルテ情報共有サービスの両方に対応
加算2:9点(月1回)電子処方箋等又は電子カルテ情報共有サービスのいずれかに対応
加算3:4点(月1回)基本要件のみ

再診料・外来診療料の加算

【電子的診療情報連携体制整備加算(再診料・外来診療料)】

点数:2点(月1回)区分の段階なし

【併算定の制限】

電子的診療情報連携体制整備加算と明細書発行体制等加算(1点)は併算定不可で、いずれか一方のみ算定できます。

再診時の算定頻度変更に注意

再診時の加算は、現行の医療情報取得加算(3月に1回・1点)から、電子的診療情報連携体制整備加算(月1回・2点)に変更されます。

項目現行改定後
初診時の加算医療情報取得加算 1点+
医療DX推進体制整備加算(区分別)
電子的診療情報連携体制整備加算
15点/9点/4点(月1回)
再診時の加算医療情報取得加算 1点(3月に1回電子的診療情報連携体制整備加算
2点(月1回
外来診療料の加算医療情報取得加算 1点(3月に1回)電子的診療情報連携体制整備加算
2点(月1回)

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4. 変更点②:電子的診療情報連携体制整備加算の新設(入院)

入院医療においても、新たな入院料加算として電子的診療情報連携体制整備加算が新設されます。従来の診療録管理体制加算に含まれていたサイバーセキュリティ対策要件を吸収する形で設計されています。

【電子的診療情報連携体制整備加算(入院料加算)】

加算1:160点(入院初日)非常時における対応につき十分な体制を整備
加算2:80点(入院初日)非常時における対応につき必要な体制を整備
対象:入院基本料(特別入院基本料等を含む)又は特定入院料を算定している患者

入院時の施設基準

区分施設基準
加算1(160点)外来の電子的診療情報連携体制整備加算の基本要件+非常時における対応につき十分な体制
加算2(80点)外来の電子的診療情報連携体制整備加算の基本要件+非常時における対応につき必要な体制

5. 変更点③:診療録管理体制加算の再編(3区分→2区分)

入院時の電子的診療情報連携体制整備加算の新設に伴い、診療録管理体制加算が3区分から2区分に再編されます。

区分現行改定後
加算1140点
(サイバーセキュリティ対策要件あり)
廃止
加算2 → 加算1100点100点(加算1に繰上げ)
加算3 → 加算230点30点(加算2に繰上げ)

【再編のポイント】

旧加算1(140点)に含まれていた「非常時における対応につき十分な体制が整備されていること」(サイバーセキュリティ対策の要件)は、新設の入院時の電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準に移行します。

結果として、診療録管理体制加算からはサイバーセキュリティ対策要件が外れ、純粋に診療記録管理体制を評価する加算に整理されました。

改定後の診療録管理体制加算の施設基準

区分施設基準
加算1
(100点)
イ 患者に対し診療情報の提供が現に行われていること
ロ 診療記録の全てが保管及び管理されていること
ハ 診療記録管理を行うにつき十分な体制が整備されていること
ニ 中央病歴管理室等の適切な施設及び設備を有すること
ホ 入院患者について疾病統計及び退院時要約が適切に作成されていること
加算2
(30点)
イ 上記(1)のイ、ロ及びニを満たすこと
ロ 診療記録管理を行うにつき必要な体制が整備されていること
ハ 入院患者について疾病統計及び退院時要約が作成されていること

6. 施設基準の詳細(電子的診療情報連携体制整備加算)

外来の電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準は、基本要件(イ~チ)追加要件(リ・ヌ)で構成されます。

【基本要件(イ~チ):全区分に共通】

イ 電子情報処理組織の使用による請求(オンライン請求)を行っていること
ロ 明細書を患者に無償で交付していること
ハ 電子資格確認(オンライン資格確認)を行う体制を有していること
ニ 電子資格確認を利用して取得した診療情報を、診察室・手術室・処置室等において閲覧又は活用できる体制を有すること
ホ 電子資格確認に係る十分な実績を有していること
ヘ 体制に関する事項・医療DX推進の体制に関する事項等を院内の見やすい場所に掲示していること
ト 掲示事項について原則としてウェブサイトに掲載していること
チ マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じる体制を有していること

【追加要件(リ・ヌ):上位区分に必要】

リ 電磁的記録をもって作成された処方箋を発行する体制又は調剤した薬剤に関する情報を電磁的記録として登録する体制を有していること(=電子処方箋対応)
ヌ 電磁的方法により診療情報を共有し、活用する体制を有していること(=電子カルテ情報共有サービス対応)

区分ごとの施設基準対応表

施設基準加算1(15点)加算2(9点)加算3(4点)
基本要件(イ~チ)必要必要必要
リ(電子処方箋)必要リ又はヌの
いずれか
不要
ヌ(電子カルテ情報
共有サービス)
必要リ又はヌの
いずれか
不要

加算1の算定には電子処方箋と電子カルテ情報共有サービスの両方の体制が必要です。加算2はいずれか一方で算定可能、加算3は基本要件のみで算定できます。

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7. 改定内容の全体比較(現行 vs 改定後)

項目現行改定後
医療情報取得加算初診1点(月1回)
再診1点(3月に1回)
廃止
医療DX推進体制整備加算初診時:加算1~6(6区分)廃止
電子的診療情報連携体制整備加算(初診)(規定なし)新設 15点/9点/4点(月1回)
電子的診療情報連携体制整備加算(再診・外来診療料)(規定なし)新設 2点(月1回)
電子的診療情報連携体制整備加算(入院)A207-5(規定なし)新設 160点/80点(入院初日)
診療録管理体制加算3区分(140点/100点/30点)2区分に再編(100点/30点)
旧加算1のサイバーセキュリティ要件は入院加算に移行
明細書発行体制等加算1点変更なし(ただし電子的診療情報連携体制整備加算との併算定不可

8. 医療機関が対応すべき実務チェックリスト

1新加算の区分確認

電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準を確認し、自院がどの区分(加算1/2/3)を算定可能か判定する。

2電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスの対応状況確認

加算1(15点)は電子処方箋と電子カルテ情報共有サービスの両方が必要。加算2(9点)はいずれか一方で可。

3院内掲示・ウェブサイトの更新

施設基準の要件として、医療DX推進の体制に関する事項の掲示及びウェブサイトへの掲載が必要。加算名称の変更に伴い、掲示内容を更新する。

9. まとめ

【改定のポイント一覧】

  1. 医療情報取得加算・医療DX推進体制整備加算を廃止:医療DXの普及状況を踏まえ、加算体系を抜本的に再編
  2. 電子的診療情報連携体制整備加算を新設(外来):初診15/9/4点、再診2点
  3. 電子的診療情報連携体制整備加算を新設(入院):加算1が160点、加算2が80点
  4. 施設基準は3段階(外来):電子処方箋と電子カルテ情報共有サービスの対応状況に応じて加算1~3に区分
  5. 診療録管理体制加算を再編:3区分(140/100/30点)→2区分(100/30点)に。サイバーセキュリティ対策要件は入院加算に移行
  6. 明細書発行体制等加算との併算定不可:新加算と明細書発行体制等加算はいずれか一方のみ算定可

今回の改定は、名称の変更が象徴するように、DX推進体制の整備から診療情報の連携体制の整備に向けた加算体系となっています。

外来の算定においては、電子処方箋への対応および電子カルテ情報共有システムへの対応準備が加算区分の鍵となります。

計画的に準備を行い、早期に体制を整備することをお勧めします。

その他の令和8年度診療報酬改定項目の解説はこちら

医療DX加算の改定対応は、
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