【チーム医療】看護・多職種協働加算の新設
急性期病棟で多職種配置を評価
急性期一般入院料4で277点/日、急性期病院Bで255点/日。看護職員とリハ職・管理栄養士等が協働する体制を評価する新加算の施設基準、シミュレーションまで詳解します。
令和8年度診療報酬改定において、急性期病棟で看護職員と他の医療職種が協働して病棟業務を行う体制を評価する「看護・多職種協働加算」が新設されます。
加算1は277点/日(急性期一般入院料4)、加算2は255点/日(急性期病院B一般入院料)となります。
本記事では、加算の概要、施設基準の詳細、シミュレーションまで解説します。
1. 改定の背景
日本では急速な高齢化が進む一方で、生産年齢人口は継続的に減少しており、医療従事者の確保がますます困難になることが予想されています。
そのような状況下においても、急性期病棟に入院する高齢患者は複数の基礎疾患、ADL低下リスク、嚥下機能低下など、従来の医療・看護だけでなく、より専門的で多角的なケアが必要とされています。
高齢患者の多い病棟においては、多職種連携により、各専門職関与による様々なメリットや、患者のADL低下を防ぐ効果が期待されます。
多職種連携を推進するため、今回の診療報酬改定において、看護・多職種協働加算が新設されました。
2. 看護・多職種協働加算の概要と点数
【看護・多職種協働加算の点数】
本加算の対象は、地域の急性期医療を担う保険医療機関における急性期一般入院料1と同等の基準を満たす急性期病棟のうち、看護職員を含む多職種が協働して専門的な観点から適時かつ適切に専門的な指導及び診療の補助を行う体制を整備している病棟となります。
入院基本料+加算の合計点数
加算を算定した場合の合計点数を、急性期一般入院料1と比較すると以下のとおりです。
| 区分 | 入院基本料 | 加算 | 合計 | 対急性期1比較 |
|---|---|---|---|---|
| 急性期一般入院料1 | 1,874点 | - | 1,874点 | - |
| 急性期病院B+加算2 | 1,643点 | 255点 | 1,898点 | +24点 |
| 急性期一般入院料4+加算1 | 1,597点 | 277点 | 1,874点 | 同点数 |
多職種が関わる現場では、管理体制の整備が重要です
従来の運用のまま多職種が関与すると、様々な無駄やリスクが生まれます。業務フローを整理して、多職種が活躍できる効率的な組織作りが重要です。
管理体制アドバイザリーの詳細はこちら3. 施設基準の詳細
3-1. 多職種配置要件(25対1)
【配置基準】
当該病棟において、一日に患者に指導及び診療の補助を行う看護職員及び他の医療職種の数は、常時、当該病棟の入院患者の数が25又はその端数を増すごとに1以上であること。
看護職員と他の医療職種を合わせて、入院患者25人に対して1人以上を常時配置することが求められます。看護配置10対1と合わせると、実質的に多職種7対1配置を実現することになります。
| 病床数 | 看護10対1 | 多職種25対1 | 合計(実質7対1) |
|---|---|---|---|
| 50床 | 5名以上 | 2名以上 | 7名以上 |
| 100床 | 10名以上 | 4名以上 | 14名以上 |
配置可能な他の医療職種
| 対象職種(看護師除く) |
|---|
| 理学療法士(PT) |
| 作業療法士(OT) |
| 言語聴覚士(ST) |
| 管理栄養士 |
| 臨床検査技師 |
「いずれか」を配置すればよいため、病院の実情に応じて配置する職種は柔軟な運用が可能です。
3-2. 重症度・医療看護必要度要件
本加算では、急性期一般入院料4又は急性期病院Bでありながら、急性期一般入院料1と同等の重症度、医療・看護必要度基準を満たすことが求められる点が特徴です。
【重症度、医療・看護必要度の基準値】
必要度Ⅰを使用する場合:
- 割合①「特に高い基準」を満たす患者割合:28%以上
- 割合②「一定程度高い基準」を満たす患者割合:35%以上
必要度Ⅱを使用する場合:
- 割合①「特に高い基準」を満たす患者割合:27%以上
- 割合②「一定程度高い基準」を満たす患者割合:34%以上
これらの基準は急性期一般入院料1で求められる基準と同等のレベルとなります。
3-3. その他の要件
| 要件 | 基準 |
|---|---|
| 平均在院日数 | 16日以内 |
| 自宅等退院割合 | 8割以上 |
| 常勤医師数 | 入院患者数×0.1以上 |
| 業務体制 | 各病棟において、各医療職種が専門性に基づいて業務を行う体制の整備 |
| 働き方改革 | 医療従事者の負担軽減・処遇改善に資する体制の整備 |
4. シミュレーション
ケース:50床の急性期一般入院料4病棟
前提条件
- 50床、急性期一般入院料4を算定
- 病床稼働率80%(実患者数40名/日)
- 看護配置10対1を維持、多職種25対1(2名以上)を追加配置
- 重症度・医療看護必要度は急性期1相当を満たしている
増収見込み
看護・多職種協働加算1(277点/日)×40名/日×30日
年間約3,989万円の増収
5. 医療機関が対応すべき実務チェックリスト
1算定可能性の評価
急性期一般入院料4又は急性期病院Bを算定中の病棟について、現状の重症度、医療・看護必要度が急性期一般入院料1相当の基準を満たしているか確認。平均在院日数16日以内・自宅等退院率8割以上の充足状況を分析する。
2配置する職種の選定
病棟の患者特性に応じた最適な職種を選択する。既存スタッフの活用可能性を検討し、新規採用の必要性を評価する。25対1の配置基準を満たすシフト計画を策定する。
3業務体制の構築
各職種の役割と業務範囲を明確化し、看護師等との業務分担を整理する。
6. まとめ
【改定2つの特徴】
- 急性期1と同等以上の評価:急性期一般入院料4+加算1は1,874点(急性期1と同点数)、急性期病院B+加算2は1,898点(急性期1を上回る)。
- 多職種7対1配置:看護10対1+多職種25対1の柔軟な配置により、各職種の専門性を最大限に発揮する体制を評価。
看護配置10対1でありながら、多職種を含めた実質7対1配置と急性期1相当の重症度基準を両立することで、急性期一般入院料1と同等以上の評価を得られる仕組みとなっています。
特に、重症度の高い高齢者が多く入棟する急性期病棟にとっては、リハ職・管理栄養士等の専門職を病棟配置することで患者のADL維持・向上を図りつつ、収益面でも大きな効果が期待できます。まずは自院の現状分析を行い、算定可能性の評価と多職種配置計画の策定に着手することが重要です。
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