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【令和8年度診療報酬改定】回復期リハビリテーション病棟入院料の見直しを徹底解説|医療専門公認会計士・税理士・行政書士が制度変更点を解説
令和8年度 診療報酬改定

【回復期リハ改定】回復期リハビリテーション病棟入院料の見直し
強化体制加算の新設、重症患者基準・実績指数の改定

入院料1は2,346点/日(+117点)へ増点。強化体制加算80点の新設、重症患者の定義拡大、土曜・休日リハ提供体制の強化など主要改定を詳解します。

公開日:2026年2月19日 | 辻本公認会計士事務所(医療機関専門・全国対応)

【出典・免責事項】本記事は、2026年2月13日に中央社会保険医療協議会(中医協)が厚生労働大臣に答申した令和8年度診療報酬改定の内容に基づいて作成しています。正式な告示・通知は今後公布される予定です。内容には細心の留意を払っておりますが、記載の内容をもとに生じたあらゆる損害に関して、一切の責任を負いません。

令和8年度診療報酬改定において、より質の高い回復期リハビリテーション医療を推進する観点から、回復期リハビリテーション病棟入院料の評価体系及び施設基準が見直されます
入院料1は2,346点/日(現行2,229点、+117点)に引き上げられ、新設の強化体制加算(80点/日)を加えると最大2,426点/日の算定が可能となります。
本記事では、点数改定、強化体制加算の新設、重症患者基準の変更、実績指数の引上げ、経過措置、シミュレーションまで解説します。

1. 改定の背景と趣旨

回復期リハビリテーション病棟は、脳血管疾患や大腿骨骨折等の急性期治療後に集中的なリハビリテーションを提供し、寝たきり防止と家庭復帰を支援する機能を担っています。

今回の改定では、より質の高い回復期リハビリテーション医療を推進する観点から、以下の9つの項目について見直しが行われます。

【改定の9つのポイント】

  1. 入院料1を対象に回復期リハビリテーション強化体制加算(80点/日)を新設
  2. 重症患者の基準を見直し、高次脳機能障害・脊髄損傷を対象に追加
  3. 重症患者の新規受入割合基準・リハビリテーション実績指数を見直し
  4. 重症患者のFIM改善割合要件を削除
  5. FIM測定についてFIMによる測定が望ましいこととする
  6. 退院前訪問指導料を出来高にて算定可能に
  7. FIM測定研修会の開催を入院料1~4の要件に拡大
  8. 地域支援事業参加・口腔管理体制整備の望ましい要件を入院料3・4にも拡大
  9. 入院料1~4について土曜日・休日を含む全日のリハ提供体制を要件化

2. 入院料の点数比較(現行→改定後)

全ての区分で増点が行われています。中でも、入院料3の増点幅が+145点と最も大きくなっています。

区分現行改定後増減
入院料12,229点2,346点+117点
入院料22,166点2,274点+108点
入院料31,917点2,062点+145点
入院料41,859点2,000点+141点
入院料51,696点1,794点+98点
入院医療管理料1,859点1,960点+101点

※生活療養を受ける場合は各入院料からそれぞれ14~20点を減算した点数となります。

施設基準の充足には、管理体制の実効性が問われます

今回の改定では実績指数の引上げや土曜・休日のリハ提供体制の強化など、組織全体の運営品質が直接問われる基準変更が多く含まれています。属人的な体制からの脱却が、安定した届出維持の鍵です。

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3. 回復期リハビリテーション強化体制加算の新設

入院料1を届け出ている病棟を対象に、さらに高い実績を有する病棟を評価するため、回復期リハビリテーション強化体制加算が新設されます。

【回復期リハビリテーション強化体制加算】

点数 :80点/日
対象 :入院料1を届け出ている病棟

【強化体制加算の施設基準】

  • 回復期リハビリテーション病棟入院料1の施設基準を満たしていること
  • リハビリテーションの効果に係る実績の指数が48以上であること
  • 退院前訪問指導について、十分な実績を有していること
  • 排尿自立支援加算に係る届出を行っている保険医療機関であること

入院料1(2,346点)に強化体制加算(80点)を加えると2,426点/日となり、現行の入院料1に旧・体制強化加算1(200点、令和6年度改定で廃止済み)を加えた水準を上回る点数となります。

4. 施設基準の主な見直し

4-1. 重症患者の基準見直し

入院料1・2における重症患者の定義が以下のとおり変更されます。

項目現行改定後
日常生活機能評価10点以上10点以上(変更なし)
FIM得点55点以下21点以上55点以下
FIM測定規定なしFIMの測定により適合していることが望ましい
高次脳機能障害対象外対象に追加(別表第九第一号に規定する患者)
脊髄損傷対象外対象に追加(別表第九第一号に規定する患者)

FIMの下限が21点に設定されたことで、FIM20点以下の最重症患者は重症患者の定義から除外されます。これは、FIM運動項目20点以下の患者については、リハビリテーションを行っても、FIM利得がほとんど得られない患者が存在する点を反映した変更と考えられます。

一方、高次脳機能障害・脊髄損傷の患者が新たに重症患者の対象に加わることで、これらの患者を受け入れている病棟では重症患者割合の充足がしやすくなります。

4-2. 重症患者の新規受入割合基準

区分現行改定後
入院料1・24割以上3割5分以上
入院料3・43割以上2割5分以上
入院医療管理料3割以上2割5分以上
特定機能病院5割以上4割5分以上

全ての区分で重症患者の新規受入割合が5ポイント緩和されています。これは、重症患者の定義変更に伴う調整と考えられます。

4-3. 重症患者のFIM改善要件の削除

【削除される要件】

「重症の患者の3割以上が退院時に日常生活機能又はFIMが改善していること」

従来、入院料1~4及び入院医療管理料に課されていた「重症患者のFIM改善割合」の要件が削除されます。

4-4. リハビリテーション実績指数の引上げ

区分現行改定後増減
入院料1・240以上42以上+2
入院料335以上37以上+2
入院料4基準なし32以上新設
強化体制加算(新設)48以上新設
特定機能病院40以上42以上+2

入院料1・2・3・特定機能病院はいずれも実績指数が2ポイント引上げとなります。また、従来基準のなかった入院料4に新たに32以上の基準が設定されます。

強化体制加算は48以上という高い水準が求められ、入院料1を届け出ている病院の約半数は本加算を算定するにあたり、指数向上が必要となります。

※出典:令和6年度入院・外来医療等における実態調査(施設調査票(B票))

4-5. 土曜・休日のリハ提供体制

項目現行改定後
対象範囲入院料1・2(休日含む全日)入院料1~4/strong>(土曜・休日含む全日)
入院料1・2 休日1日当たり提供単位数平均2単位以上平均3単位以上
休日リハ提供体制加算入院料3・4・5・管理料が対象(60点/日)入院料5・管理料のみ対象(60点/日)

入院料1・2について、土曜日を含む全日のリハ提供体制が要件化されます。また、休日の1日当たりリハ提供単位数が平均2単位から3単位に引上げられます。

入院料3・4はこれまで休日リハビリテーション提供体制加算(60点/日)の対象でしたが、全日のリハ提供が要件化(入院料本体に包含)されたことで加算の対象外となり、入院料5と管理料のみが加算の対象となります。

4-6. その他の要件拡大

要件現行対象改定後対象
FIM測定研修会の年1回以上開催入院料1・3入院料1~4
地域支援事業への参加(望ましい要件)入院料1・2入院料1~4
口腔管理体制の整備入院料1・2(必須)入院料1・2(必須)、3・4(望ましい)
FIMによる評価規定なし評価にあたってはFIMを用いることが望ましい

各種要件について、下位の入院料にも拡大されており、入院料2~4を届け出ている医療機関では対応が必要です。

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5. 退院前訪問指導料の出来高算定

回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する患者について、退院前訪問指導料が出来高で算定できるようになります。

【改定のポイント】

  • 退院前訪問指導料が出来高算定可能に
  • 入院後早期に退院前訪問指導の必要があると認められる場合は2回算定可能(従来は1回、ただし入院時訪問指導加算は算定不可)

6. 経過措置

対象経過措置の内容
入院料2又は4の届出あり令和8年3月31日時点で届出を行っている病棟は、令和8年9月30日までの間に限り、入院料2の実績指数基準(32以上)及び入院料4の実績指数基準(32以上)を満たしているものとみなす
入院料3又は4の届出あり令和8年3月31日時点で届出を行っている病棟は、令和8年9月30日までの間に限り、入院料3・4の休日リハ提供体制要件(休日含む全日提供)を満たしているものとみなす

経過措置期間は令和8年9月30日までです。

7. 収支シミュレーション

入院料別の増収効果を、病棟稼働率90%・50床の病棟を前提にシミュレーションします。

【入院料1(50床・稼働率90%)】

1日当たり稼働病床数:50床 × 90% = 45床

1日当たり増収額:+117点 × 45床 × 10円 = 52,650円/日

年間増収額:約1,922万円

※強化体制加算(80点)算定の場合はさらに+80点×45床×10円×365日=約1,314万円の上乗せ

【入院料3(50床・稼働率90%)】

1日当たり稼働病床数:50床 × 90% = 45床

1日当たり増収額:+145点 × 45床 × 10円 = 65,250円/日

年間増収額:約2,382万円

上記はあくまで単純な試算であり、実際の増収額はDPC対象か否か、患者構成、加算の算定状況等により異なります。

8. 医療機関が対応すべき実務チェックリスト

1リハビリテーション実績指数の確認

直近の実績指数を算出し、改定後の基準値(入院料1:42以上、入院料2:32以上、入院料3:37以上、入院料4:32以上)を充足しているか確認する。強化体制加算を算定する場合は48以上が必要。

2重症患者割合の再計算

新たな重症患者の定義(FIM 21点以上55点以下、高次脳機能障害・脊髄損傷の追加)に基づき、重症患者の新規受入割合を再計算する。

3土曜・休日のリハ提供体制の整備

入院料3・4の病棟は新たに土曜日を含む全日のリハ提供が要件化されるため、人員配置・シフト体制を確認する。

4FIM測定研修会の実施計画

入院料2・4で新たに要件化されるFIM測定研修会の年1回以上開催に向け、実施計画を策定する。

5退院前訪問指導の体制整備

出来高算定が可能となる退院前訪問指導の実施体制を整備する。強化体制加算の取得を目指す場合は「十分な実績」が求められるため、訪問指導の実施件数を管理する。

6収支シミュレーションの実施

増点による増収見込みと、土曜・休日のリハ提供体制強化に伴う人件費増を含めた総合的な収支分析を行う。

9. まとめ

【改定の3つの特徴】

  1. 全区分での増点と強化体制加算の新設:入院料1~5及び管理料の全てで増点。入院料1では強化体制加算(80点)を加え最大2,426点/日が可能に。
  2. 「質」を重視する方向性の明確化:実績指数の引上げ(+2ポイント)、入院料4への実績指数基準の新設、土曜・休日を含む全日リハ提供体制の入院料3・4への拡大。
  3. 重症患者への対応力の評価:高次脳機能障害・脊髄損傷を重症患者の対象に追加する一方、FIM改善割合要件を削除し、改善に時間を要する患者の受入れを促進。

今回の改定は、回復期リハビリテーション病棟に対して「増点」と「基準引上げ」の両面で対応しており、単なる増収ではなくリハビリテーションの質の向上を求める構造になっています。

まずは自院のリハビリテーション実績指数、重症患者割合、土曜・休日のリハ提供体制を精査し、改定後の施設基準の充足可能性と収支影響を評価することが重要です。

その他の令和8年度診療報酬改定項目の解説はこちら

診療報酬改定対応の第一歩は、
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