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社会福祉法人について-消費税 その4

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社会福祉法人の消費税 – 社福特有の論点をヘルスケア専門の公認会計士が解説

社会福祉法人は、社会福祉法に基づき社会福祉事業を行うことを目的として設立された法人です。


公益性の高さから様々な優遇が受けられる反面、法令による多数の規制が設けられています。


本記事では、
3.社会福祉法人の特例と優遇
の中でも消費税の優遇措置と特有論点について、関連法令を引用しながら解説します。

以下の内容は執筆日時点での法令情報に基づいています。法令改正等がないか必ずご確認ください。また、内容について細心の注意を払っておりますが、記載の内容をもとに生じたあらゆる損害に関して、弊事務所では一切の責任を負いません。

<参考>前回記事:社会福祉法人について-法人税(特例と優遇) その3

税務上の優遇措置

今回は、消費税に関する税務上の論点及び優遇措置について解説します。

Ⅱ.消費税

社会福祉法人における消費税の論点では、主に以下の2つがあげられます。
①課税非課税区分
②特定収入
これらが社会福祉法人の消費税上の優遇措置でもあり、制約点にもなります。

①課税非課税区分

(消費税法第6条・別表第2 7、消費税法施行令第14条の2 他)

非課税取引

社会福祉法人で行われる事業のうち、主に以下の取引については消費税が非課税と定められています(消費税法第6条、別表第2)。

介護保険法に基づく居宅介護サービス施設介護サービス、その他これに類する取引(一部を除く)
社会福祉事業の取引、これに類する取引(一部を除く)

<消費税法>
第6条 
国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第二に掲げるものには、消費税を課さない。

別表第2 
七 次に掲げる資産の譲渡等(後略)
 イ 介護保険法(中略)の規定に基づく居宅介護サービス費の支給に係る居宅サービス(訪問介護、訪問入浴介護その他の政令で定めるものに限る。)、施設介護サービス費の支給に係る施設サービス(政令で定めるものを除く。)その他これらに類するものとして政令で定めるもの
 ロ 社会福祉法第二条(定義)に規定する社会福祉事業(中略)として行われる資産の譲渡等(後略)
 ハ ロに掲げる資産の譲渡等に類するものとして政令で定めるもの

すなわち、社会福祉法人が目的として行う取引の多くは非課税となります。

介護保険法に基づくサービスのうち、交通費送迎特別居室特別食など利用者の選定による取引
市町村特別給付のうち、配食を除く取引
福祉用具譲渡貸付けなどの取引(車椅子、松葉づえ等の身体障害者用物品は非課税)
障害者相談支援事業 …他

また、売店収入や貸会議室収入など、通常の課税取引は当然に社会福祉法人でも消費税が課されます。

その他多数の取引、事業別通達や質疑応答事例等が発出されているため、詳細な課税区分についてはお問い合わせください。

<消費税基本通達> ※関連通達が多数のため、一部のみ抜粋
6-7-1 
(前略)介護保険関係の非課税範囲は次のようになるのであるから留意する。(中略)

(1) 介護保険法の規定に基づく居宅介護サービス費の支給に係る居宅サービス
  イ 居宅要介護者の居宅において介護福祉士等が行う訪問介護(居宅要介護者の選定による交通費を対価とする資産の譲渡等を除く。)…他
(中略)
(13) 介護保険法の規定に基づく市町村特別給付として要介護者又は居宅要支援者に対して行う食事の提供
(筆者注:食事提供のみが非課税取引に該当する)
(後略)

6-7-3
介護保険法の規定により居宅要介護者又は居宅要支援者が福祉用具の貸与を受け又は購入した場合に、(中略)非課税となる介護保険に係る資産の譲渡等》に規定する資産の譲渡等に該当しないが、(中略)身体障害者用物品に該当するときは、同号の規定により非課税となるのであるから留意する。(後略)

<消費税質疑応答事例> ※関連事例が多数のため、一部のみ抜粋
障害者相談支援事業を受託した場合の消費税の取扱い
回答要旨
社会福祉法に規定する社会福祉事業として行われる資産の譲渡等については、消費税が非課税となります。
 社会福祉法上、障害者総合支援法に規定する「一般相談支援事業」及び「特定相談支援事業」は第二種社会福祉事業とされていますが、「障害者相談支援事業」は、障害者に対する日常生活上の相談支援を行うものであり、入所施設や病院からの地域移行等の相談を行う「一般相談支援事業」や、障害福祉サービスの利用に係る計画作成等の支援を行う「特定相談支援事業」には該当せず、また、社会福祉法に規定する他の社会福祉事業のいずれにも該当しません
 上記に加え、当該事業については消費税法上、非課税の対象として規定されているものでもないことから、当該事業の委託は、非課税となる資産の譲渡等には該当せず、受託者が受け取る委託料は、課税の対象となります。

<消費税法>
第9条
事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が千万円以下である者(適格請求書発行事業者を除く。)については、第五条第一項の規定にかかわらず、その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき、消費税を納める義務を免除する。(後略)

②特定収入(消費税法第60条 第4項)

<タックスアンサー> 
No.6495 国、地方公共団体や公共・公益法人等に特定収入がある場合の仕入控除税額の調整
概要
(前略)例えば、次のような収入が特定収入に当たります。
1 租税
2 補助金
3 交付金
4 寄附金
5 出資に対する配当金
6 保険金
7 損害賠償金
8 資産の譲渡等の対価に当たらない負担金、他会計からの繰入金、会費等、喜捨金(お布施、戒名料、玉串料など)
(後略)

特定収入は「資産の譲渡等の対価以外の収入」であるため、消費税の課税対象外売上となります。
一方、特定収入の補助金等で備品を購入した場合、そのままだと通常は全額が課税仕入れとなります。

すなわち、課税売上高には影響がない反面、購入額全額が課税仕入れとなるため、課税売上に係る消費税額と課税仕入れに係る消費税額の差額で計算される消費税の納税額が少ない状態になります。
この状態を解消するために、特定収入に係る課税仕入れ税額の調整が行われます。

次に、上記区分の特定収入について調整額を以下の数式で計算します。(簡便的に消費税・地方消費税を合わせた10%で計算し、個別対応方式採用を前提としています)
A α:課税売上のみに対応する特定収入×10/110
  β:課税・非課税売上共通に対応する特定収入×10/110×課税売上割合
B:特定収入×調整割合(※1)

※1調整割合・・・B÷(資産の譲渡等の対価の額+B)

上記計算式で計算された、調整額を課税仕入れ税額から控除することで、控除対象仕入れ税額を計算することになります。

※2消費税簡易課税・・・原則基準期間の課税売上高が5,000万円以下の消費税課税事業者を対象として、事務手続軽減目的で業種に応じて、課税売上額の50%などを課税仕入れ額として計算し、消費税納税額を計算する方法

※3特定収入割合・・・特定収入全額÷(資産の譲渡等の対価の額+特定収入全額)

<消費税法> 
第60条
4 (前略)別表第三に掲げる法人(中略)(第九条第一項本文の規定(筆者注:免税事業者の規定)により消費税を納める義務が免除される者を除く。)が(中略)特定収入(中略)があり、かつ、当該特定収入の合計額が当該課税期間における資産の譲渡等の対価の額(中略)の合計額に当該特定収入の合計額を加算した金額に比し僅少でない場合(筆者注:特定収入割合が5%超)(中略)、第三十七条の規定(筆者注:消費税簡易課税)の適用を受ける場合を除き、(中略)課税仕入れ等の税額(中略)の合計額は、(中略)課税仕入れ等の税額の合計額から特定収入に係る課税仕入れ等の税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した残額に相当する金額とする。(後略)

別表第3 ※一部抜粋
一 次の表に掲げる法人
名称:社会福祉法人、根拠法:社会福祉法

今回は、消費税法上の論点及び優遇措置について解説しました。
社会福祉法人は、その他の税金についても同様に特有の論点及び優遇措置が設けられています。
次回は、社会福祉法人のその他税金の論点及び優遇措置について投稿予定です。


前回ブログ:社会福祉法人について-法人税 その3