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【令和8年度診療報酬改定】賃上げ評価(ベースアップ評価料)を徹底解説|医療専門公認会計士・税理士・行政書士が制度変更点を解説
令和8年度 診療報酬改定

【最大の改定率】ベースアップ評価料を徹底解説
点数・算定要件・シミュレーション

令和8年6月より、対象職員、継続的賃上げ、減算規定、段階的引上げ等の仕組みを詳解します。

公開日:2026年2月14日 | 辻本公認会計士事務所(医療機関専門・全国対応)

【出典・免責事項】本記事は、2026年2月13日に中央社会保険医療協議会(中医協)が公表した令和8年度診療報酬改定答申書の内容に基づいて作成しています。正式な告示・通知は今後公布される予定です。内容には細心の留意を払っておりますが、記載の内容をもとに生じたあらゆる損害に関して、一切の責任を負いません。

令和8年度診療報酬改定の大きな柱が、医療従事者の賃上げ評価(ベースアップ評価料)の拡充です。
改定のポイントは、①対象職員の拡大、②令和6年度報酬改定のベースアップ評価料算定医療機関の優遇、③令和9年6月に点数を約2倍に引上げる段階的評価の3点があげられます。
本記事では、医科に特化して、点数、算定要件、段階的引き上げ、減算規定などの制度変更点について解説します。

1. 制度の全体像 ― 賃上げの位置づけ

改定率の内訳と賃上げ財源

令和8年度診療報酬改定の本体改定率+3.09%のうち、賃上げ対応分は+1.70%を占め、改定の最大の柱となっています。

項目改定率概要
賃上げ対応+1.70%ベースアップ評価料の拡充等
物価対応+0.76%物価対応料の新設
緊急対応等+0.44%初再診料・入院基本料の本体引上げ
その他・拡充+0.34%機能分化・連携等
適正化▲0.15%リフィル処方推進の効率化等
本体合計+3.09%

賃上げの目標水準

令和8年度及び令和9年度それぞれで+3.2%のベースアップ実現を支援するため、賃上げ対応で大きな改定が行われています。中でも、看護補助者と事務職員については、他産業との人材獲得競争を踏まえ、5.7%の賃上げ目標が立てられています。

令和6年度改定との関係

今回の改定では、令和6年度・7年度から継続して賃上げを実施してきた医療機関その他の医療機関で区別される報酬体系が設定されています。
具体的には、前者の医療機関では点数加算が行われる一方、賃上げ未実施の医療機関では入院基本料の減算規定が設けられています。

出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(2025年12月24日予算大臣折衝)、中医協「個別改定項目について」(2026年2月13日)

2. 対象職員の拡大 ― 何が変わるのか

今回の改定で最も基本的かつ影響範囲の大きい変更が、賃上げ評価の対象職員の定義拡大です。

項目現行(令和6年度)改定後(令和8年度)
対象職員主として医療に従事する職員(医師及び歯科医師を除く)保険医療機関に勤務する職員
含まれる職種看護師、薬剤師、PT、OT等の医療職医療職に加え、事務職員等も含む

拡大の理由

令和6年度診療報酬改定では、入院基本料や初・再診料の引上げにより40歳未満の勤務医や事務職員等に賃上げ原資が配分されましたが、ベースアップ評価料の対象は「主として医療に従事する職員」に限定されていたため、事務職員等の賃上げの「実効性確保」が課題として残っていました。

令和8年度報酬改定でベースアップ評価料の対象職種とすることで、報告義務で実効性を担保しながら 、幅広い職種での賃上げを図る設計となっています。

【実務上の重要ポイント】

対象職員が「勤務する職員」に拡大されることで、従来は対象外だった医事課等の事務職員も含めた賃金改善計画の策定が必要です。

出典:中医協「賃上げについて(その2)」(2026年1月14日)、中医協「個別改定項目について」(2026年2月13日)

3. 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の見直し

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)では、点数の大幅な引上げ継続的賃上げに対する加算が行われます。

点数の改定

区分現行点数R8.6からR9.6から
1 初診時6点17点34点
2 再診時等2点4点8点
3 訪問診療時(イ)
同一建物居住者等以外
28点79点158点
3 訪問診療時(ロ)
イ以外
7点19点38点

継続的賃上げ

今回の改定では、令和6年度・令和7年度からの継続的な賃上げに対する加算が設定されています。すなわち、賃上げを継続して実施した医療機関は、上記点数点数に代えて、以下の点数を算定することができます。

【継続的賃上げの点数(R8.6~R9.5)】

  • 初診時:23点 (通常17点)
  • 再診時等:6点 (通常4点)
  • 訪問診療時(イ):107点 (通常79点)
  • 訪問診療時(ロ):26点 (通常19点)

【継続的賃上げの点数(R9.6以降)】

  • 初診時:40点 (通常34点)
  • 再診時等:10点 (通常8点)
  • 訪問診療時(イ):186点 (通常158点)
  • 訪問診療時(ロ):45点 (通常38点)

すなわち、①令和6年度・7年度から継続賃上げの医療機関、②令和8年度から賃上げの医療機関、③賃上げを行わない(算定しない)医療機関の3区分で、ベースアップ評価料は異なることになります。

4. 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)の見直し

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)でも、評価料(Ⅰ)と同様に見直しが行われます。

5. 入院ベースアップ評価料の見直し

入院ベースアップ評価料でも、外来・在宅ベースアップ評価料と同様に見直しが行われます。

項目現行R8.6からR9.6から
段階1~165
(165段階)
1~250
(250段階)
1~500
(500段階)
刻み1点刻み1点刻み1点刻み
最大点数165点/日250点/日500点/日

これまでの最大点数は165点から、令和9年6月以降は500点まで、約3倍に点数が引上げられます。

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6. 継続的賃上げ未実施医療機関への減算規定【新設】

今回の改定で新設された規定に、継続的な賃上げを行っていない医療機関への入院基本料の減算規定があります。
令和6年度及び令和7年度に賃上げを実施していない医療機関を対象に、入院基本料、特定入院料、短期滞在手術等基本料の減算が行われます。

減算点数の例

 
算定する入院基本料等1日あたり減算点数
急性期病院A、急性期一般1、
急性期病院B(看護・多職種協働加算算定)、
急性期一般4(看護・多職種協働加算算定)
121点/日を減算
※看護・多職種協働加算は令和8年度診療報酬改定で新設の加算
※算定する入院基本料等により減算点数は異なる

すなわち、令和6年度・7年度から継続賃上げの医療機関と、その他医療機関で算定できる入院基本料等の点数が異なってきます。

7. その他の変更点

令和7年1月より、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の届出簡素化が行われました。 今回の改正では一層の届出簡素化として、申請書・中間報告書・報告書の3書類への変更区分見直し計算(※)の廃止などが議論されています。
今後の事務連絡等により、当該方針通達が行われることが想定されます。
※外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)、入院ベースアップ評価料等のみ対象

出典:中医協「賃上げについて(その2)」(2026年1月14日)

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8. まとめ

令和8年度診療報酬改定における賃上げ評価の見直しは、以下の4つの特徴があります。

【改定の4つのポイント】

  1. 対象職員の拡大:「主として医療に従事する職員」→「勤務する職員」。事務職員等も対象に。
  2. 継続的賃上げ加算の新設:令和6・7年度に賃上げ実施済みの医療機関で加算が行われる。
  3. 段階的評価の導入:令和9年6月以降、点数を約2倍に引上げ。
  4. 減算規定の新設:賃上げ未実施機関への入院基本料等の減算規定。
計画的に準備を行っていくことが重要となります。

その他の令和8年度診療報酬改定項目の解説はこちら


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