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【令和8年度診療報酬改定】機能強化加算の見直しを徹底解説|医療専門公認会計士・税理士・行政書士が変更点を解説
令和8年度 診療報酬改定

【かかりつけ医機能】機能強化加算の見直し
BCP策定義務化・データ提出加算届出の望ましい要件追加等

点数80点は維持。BCP策定を施設基準通知に追加(経過措置あり)。外来データ提出加算の届出を望ましい要件として規定。

公開日:2026年2月21日 | 辻本公認会計士事務所(医療機関専門・全国対応)

【出典・免責事項】本記事は、2026年2月13日に中央社会保険医療協議会(中医協)が厚生労働大臣に答申した令和8年度診療報酬改定の内容に基づいて作成しています。正式な告示・通知は今後公布される予定です。内容には細心の留意を払っておりますが、記載の内容をもとに生じたあらゆる損害に関して、一切の責任を負いません。

令和8年度診療報酬改定において、機能強化加算の施設基準等に関する見直しが行われます。
今回の改定は、かかりつけ医機能に係る体制整備を推進する観点から、施設基準への要件追加が中心となります。点数(80点)に変更はありませんが、BCP(業務継続計画)策定の義務化外来データ提出加算の届出に関する望ましい要件の新設、外来医師過多区域における保険医療機関指定3年以内診療所の除外(新設制度)の3点が追加されています。
本記事では、機能強化加算の概要、改定の背景、具体的な変更内容、経過措置、実務対応まで解説します。

1. 機能強化加算の概要

機能強化加算は、外来医療における適切な役割分担を図り、専門医療機関への受診の要否の判断等を含むより的確で質の高い診療機能を評価する加算です。平成30年度の診療報酬改定で新設されて、かかりつけ医機能の推進を目的としています。

【機能強化加算の基本情報】

点数:80点(初診時に算定)
対象:許可病床数200床未満の病院又は診療所
前提:地域包括診療加算、地域包括診療料、小児かかりつけ診療料、在宅時医学総合管理料等の届出を行っている医療機関であること

機能強化加算は、かかりつけ医機能を有する医療機関が初診患者に対して算定するものであり、施設基準を満たしていれば初診時に算定が可能です。具体的には、患者が受診している他の医療機関及び処方されている医薬品の把握、必要な服薬管理、専門医療機関への紹介、健康管理に関する相談対応等が求められます。

2. 変更点①:外来データ提出加算の届出(望ましい要件)

施設基準に、外来データ提出加算及び在宅データ提出加算の届出を行っていることが望ましい旨の規定が追加されました。

【新設された施設基準(5)】

以下に掲げる届出を行っていることが望ましい

  • イ 区分番号A001の注13に掲げる外来データ提出加算
  • ロ 区分番号B001-2-9の注4に掲げる外来データ提出加算
  • ハ 区分番号B001-3の注4に掲げる外来データ提出加算
  • ニ 区分番号B001-3-3の注4に掲げる外来データ提出加算
  • ホ 区分番号C002の注13に掲げる在宅データ提出加算
  • ヘ 区分番号C002-2の注7に掲げる在宅データ提出加算
  • ト 区分番号C003の注7に掲げる在宅データ提出加算

この要件は「望ましい」という努力義務であり、現時点では算定の必須条件ではありません。ただし、診療実績データの活用が進んでおり、将来的な要件変更の可能性もあるため、早期の体制整備が推奨されます。

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3. 変更点②:BCP(業務継続計画)策定の義務化

施設基準通知に、BCP(業務継続計画)の策定及び定期的な見直しに関する要件が追加されました。

【施設基準通知に追加された規定(6)】

「医療機関(災害拠点病院以外)における災害対応のためのBCP作成の手引き」等を参考に、医療機関の実情に応じて、災害等の発生時において、当該保険医療機関において患者に対する医療の提供を継続的に実施することを目指すこと、非常時の体制で早期の業務再開を図ること及び患者と職員の安全を確保すること等を目的とした計画(業務継続計画)を策定し、当該計画に従い必要な措置を講じること。また、定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行うこと。

BCP策定要件のポイントは以下のとおりです。

【BCP策定要件のポイント】

参照手引:「医療機関(災害拠点病院以外)における災害対応のためのBCP作成の手引き」等
計画の目的:①医療提供の継続②早期の業務再開③患者と職員の安全確保
定期的見直し:策定後も定期的な見直しと必要に応じた変更が必要

BCPの策定は、東日本大震災等の経験を踏まえ、医療機関の事業継続能力の向上・新たな医療ニーズへの対応を図る計画です。近年頻発する自然災害等への対応として、必要性が高まっている点反映した改正と考えられます。

4. 変更点③:外来医師過多区域の3年以内指定診療所の除外

施設基準に、健康保険法第68条の2第1項の規定により3年以内の期限が付された同法第63条第3項第1号の指定を受けた診療所以外の保険医療機関であることが追加されました。

外来医師過多区域に関する開業制限が健康保険法改正で追加されたことに伴い、施設基準で明文化されています。詳細は以下をご参照ください。

外来医師過多区域とは|新規開業への影響と医療法・診療報酬上の制約を解説

【新設された施設基準(4)】

健康保険法第68条の2第1項の規定により3年以内の期限が付された同法第63条第3項第1号の指定を受けた診療所以外の保険医療機関であること。

5. 改定内容の全体比較(現行 vs 改定後)

項目現行改定後
算定点数80点(初診時)80点(変更なし)
対象医療機関200床未満の病院又は診療所変更なし
施設基準(1)~(3)地域包括診療加算等の届出等変更なし
施設基準(4) 外来医師過多区域の3年以内指定診療所の除外(規定なし)新設
施設基準(5) 外来データ提出加算の届出(規定なし)新設(望ましい)
通知(6) BCP策定(規定なし)新設(義務)

今回の改定では、点数及び算定要件には変更がなく、施設基準の強化が中心です。特にBCP策定は通知レベルでの義務規定であり、算定を継続するためには対応が必須となります。

6. 経過措置

BCP策定要件については、既存の届出医療機関に対する経過措置が設けられています。

【経過措置の内容】

令和8年3月31日において現に機能強化加算の届出を行っている保険医療機関については、令和9年5月31日までの間に限り、施設基準通知(6)(BCP策定)に該当するものとみなす。

経過措置のポイントは以下のとおりです。

【経過措置の整理】

対象:令和8年3月31日時点で機能強化加算の届出を行っている医療機関
猶予期間:令和9年5月31日まで
対象要件:施設基準通知(6)のBCP策定要件のみ

経過措置期間は令和9年5月31日までです。この期間内にBCPの策定と、定期的な見直し体制の構築を完了する必要があります。

なお、新規に機能強化加算を届け出る場合は、経過措置の対象外であるため、届出時点でBCPが策定済みである必要があります。

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7. 医療機関が対応すべき実務チェックリスト

1BCP(業務継続計画)の策定

厚生労働省「医療機関(災害拠点病院以外)における災害対応のためのBCP作成の手引き」等を参考に、自院の実情に応じたBCPを策定する。

2BCPの定期的見直し体制の構築

策定後も定期的な見直しが求められるため、見直しのサイクル(年1回等)を決定し、業務フローを構築する。

3外来データ提出加算の届出検討

望ましい要件として規定された外来データ提出加算について、届出していない場合は対応を検討する。

8. まとめ

【改定のポイント一覧】

  1. 点数は80点で変更なし
  2. 外来データ提出加算の届出(望ましい要件):外来データ提出加算及び在宅データ提出加算の届出が望ましいとされた。現時点では努力義務。
  3. BCP策定の義務化:施設基準通知にBCP策定及び定期的見直しが追加。既存届出医療機関には令和9年5月31日までの経過措置あり。

今回の機能強化加算の見直しは、点数の変更はないものの、施設基準の強化によりかかりつけ医としての体制整備の実質化が求められています。特にBCP策定は経過措置があるとはいえ、早期に着手することが重要です。また、外来データ提出加算の届出については、将来の義務化を見据えた先行的な対応が推奨されます。

その他の令和8年度診療報酬改定項目の解説はこちら

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