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【令和8年度診療報酬改定】療養病棟入院基本料の見直しを徹底解説|医療専門公認会計士・税理士・行政書士が変更点を解説
令和8年度 診療報酬改定

【療養病棟】療養病棟入院基本料の見直し
医療区分の追加・再編と入院料2の要件引上げ

感染症治療×創傷処置の複合で医療区分3算定が可能に。非がん緩和ケア・医療的ケア児の評価拡大。入院料2の医療区分2・3割合は6割へ。

公開日:2026年2月20日 | 辻本公認会計士事務所(医療機関専門・全国対応)

【出典・免責事項】本記事は、2026年2月13日に中央社会保険医療協議会(中医協)が厚生労働大臣に答申した令和8年度診療報酬改定の内容に基づいて作成しています。正式な告示・通知は今後公布される予定です。内容には細心の留意を払っておりますが、記載の内容をもとに生じたあらゆる損害に関して、一切の責任を負いません。

令和8年度診療報酬改定において、療養病棟入院基本料に関する重要な見直しが行われます。
今回の改定は、患者の病態や医療資源投入量をより適切に反映させる観点から、医療区分2・3に該当する疾患・状態・処置等の内容が追加・再編されるとともに、療養病棟入院料2における医療区分2・3の患者割合が5割→6割に引上げとなります。
本記事では、改定の背景、具体的な変更内容、実務対応まで解説します。

1. 改定の背景と趣旨

療養病棟入院基本料は、令和6年度改定において医療区分とADL区分に基づく9分類から30分類へと大幅に見直され、「疾患・状態」と「処置等」を区分した評価体系へと移行しました。

今回の令和8年度改定では、この体系を前提として、患者の病態や医療資源投入量をより適切に反映させる観点から、以下3つの方向で見直しが行われます。

今回の改定の基本方針

  • 医療区分2の複数処置を同時実施する場合の医療区分3への引上げ(複合評価の導入)
  • 非がん疾患の緩和ケア・医療的ケア児の受入れに対する評価拡大
  • 医療の必要性が高い患者の受入れ推進のため、入院料2の基準引上げ

2. 医療区分3の追加・再編(処置の複合評価)

今回改定の大きなポイントの1つは、医療区分2の処置のうち、感染症治療に係る処置と創傷治療等に係る処置の両方に該当する場合に、処置等に係る医療区分3として算定できるようになる点です。

従来、これらの処置はそれぞれ単独では医療区分2の評価にとどまっていましたが、複数の処置を同時に実施している患者は医療資源投入量が高いことを踏まえ、複合評価の仕組みが導入されました。

2-1. 感染症治療に係る処置

感染症治療に係る処置備考
肺炎に対する治療
尿路感染症に対する治療
脱水に対する治療発熱を伴う状態の患者に限る
頻回の嘔吐に対する治療発熱を伴う状態に限る
経鼻胃管及び胃瘻等の経腸栄養発熱又は嘔吐を伴う状態の患者に限る

2-2. 創傷治療等に係る処置

創傷治療等に係る処置備考
褥瘡に対する治療皮膚層の部分的喪失又は2箇所以上の場合
末梢循環障害による下肢末端の開放創に対する治療
創傷・皮膚潰瘍又は下腿/足部の蜂巣炎、膿等の感染症に対する治療手術創や感染創を含む
中心静脈栄養対象疾患外で開始30日超の場合
人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜灌流又は血漿交換療法
気管切開又は気管内挿管発熱を伴う状態の患者を除く

2-3. 複合評価の仕組み

【複合評価による医療区分3算定の要件】

感染症治療に係る処置と、創傷治療等に係る処置両方に該当する場合に、処置等に係る医療区分3として入院料を算定できます。

具体例

例:肺炎治療中に褥瘡処置も実施している患者

グループ1:肺炎に対する治療 ✓
グループ2:褥瘡に対する治療(皮膚層の部分的喪失) ✓

→ 両グループに該当するため、処置等の医療区分3として算定可能

この複合評価の導入により、感染症と創傷の両方の治療を行う療養病棟患者について、実態に即した評価が可能となります。

医療区分の適正評価には、管理体制の整備が前提です

医療区分の評価票の正確な記載や、処置等の実施記録の管理体制が不十分な場合、適正な医療区分での算定が困難です。「記録があるが不正確」「評価票の運用が形骸化している」等の課題がある場合、管理体制の見直しが有効です。

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3. 医療区分3の追加(疾患・状態:超重症児)

医療的ケア児の受入れを評価する観点から、超重症児(者)に該当する15歳未満の小児患者が、疾患・状態に係る医療区分3に追加されました。

【医療区分3に追加された疾患・状態】

区分番号A212に掲げる超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算の注1に規定する超重症の状態(15歳未満の小児患者に限る)

これにより、超重症の状態にある医療的ケア児を療養病棟で受け入れた場合、疾患・状態の医療区分3として評価されることになります。

4. 医療区分2の追加(非がん緩和ケア・準超重症児)

4-1. 非がん疾患の緩和ケア(疾患・状態)

従来、疾患・状態に係る医療区分2の「医療用麻薬等の薬剤投与による疼痛コントロール」は悪性腫瘍に限定されていました。

今回の改定では、非がん疾患患者に対する緩和ケアを実施する観点から、悪性腫瘍以外の病態についてが医療区分2に追加されました。

追加された疾患・状態要件
末期呼吸器疾患適切な治療にもかかわらずヒュー・ジョーンズ分類Ⅴ度に該当し、呼吸困難に対して医療用麻薬の投与によるコントロールが必要な状態に限る
末期心不全器質的心機能障害により、適切な治療にもかかわらず慢性的にNYHA重症度分類Ⅳ度に該当し、頻回もしくは持続的に医療用麻薬の投与又はその他の点滴薬物療法による苦痛・症状コントロールが必要な状態に限る
末期腎不全器質的腎障害により、適切な治療にもかかわらず慢性的に日本腎臓学会慢性期腎臓病重症度分類Stage G5以上に該当し、腎代替療法を必要とする状態であるが、透析療法の開始又は継続が困難であり、医療用麻薬等の投与による苦痛コントロールが必要な状態に限る

4-2. 準超重症児(疾患・状態)

超重症児の医療区分3への追加と同様に、準超重症の状態にある15歳未満の小児患者が、疾患・状態に係る医療区分2に追加されました。

【医療区分2に追加された疾患・状態】

区分番号A212に掲げる超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算の注2に規定する準超重症の状態(15歳未満の小児患者に限る)

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5. 療養病棟入院料2:医療区分2・3割合の引上げ

今回の改定では、より医療の必要性が高い患者の受入れを推進する観点から、療養病棟入院料2における医療区分2・3の患者割合の要件が引き上げられます。

項目現行改定後
療養病棟入院料1(医療区分2・3割合)8割以上8割以上(変更なし)
療養病棟入院料2(医療区分2・3割合)5割以上6割以上

6. 経過措置

対象経過措置の内容期限
療養病棟入院料2の
医療区分2・3割合
令和8年3月31日時点で入院料2を届出済みの医療機関は、引き続き現行基準(5割以上)で算定可能令和8年9月30日まで

経過措置は令和8年9月30日までと短期間の間に医療区分2・3の患者割合を6割以上に引き上げる必要があります。

7. 医療機関が対応すべき実務チェックリスト

1現状の医療区分構成の把握

医療区分・ADL区分別の患者数を集計し、医療区分2・3の割合を算出する。特に入院料2を届出している場合、6割基準の充足状況を確認する。

2複合評価対象患者の洗い出し

現在、医療区分2の処置を実施している患者について、感染症治療と創傷治療等の両方に該当する患者がいるか確認する。

3非がん緩和ケア該当患者の確認

療養病棟に入院中の患者で、医療用麻薬等による疼痛・苦痛コントロールを実施中の患者を洗い出し、医療区分2の移行可否を評価する。

4収支シミュレーションの実施

医療区分の変動による入院料の変化額を試算し、増収効果と入院料2の基準充足リスクを総合的に分析する。

8. まとめ

【改定3つのポイント】

  1. 複合評価の導入で医療区分3算定が拡大:感染症治療と創傷治療等の両方を実施する患者は、処置等の医療区分3として算定可能に。療養病棟で多い「肺炎+褥瘡」等の併発ケースに直接的な増収効果。
  2. 非がん緩和ケア・医療的ケア児の評価充実:末期呼吸器疾患・末期心不全・末期腎不全が医療区分2に追加。超重症児は医療区分3、準超重症児は医療区分2に追加され、療養病棟における多様な患者の受入れを評価。
  3. 入院料2の基準厳格化(5割→6割):経過措置は令和8年9月30日まで。

まずは自院の患者構成と処置の実施状況を精査し、複合評価や非がん緩和ケアの該当患者を洗い出すことが重要となります。

その他の令和8年度診療報酬改定項目の解説はこちら

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