【地域支援・医薬品供給対応体制加算】
後発医薬品使用体制加算の廃止と
新加算の施設基準・流通改善GL遵守要件を徹底解説
後発医薬品使用体制加算・外来後発医薬品使用体制加算を廃止し、医薬品の安定供給に資する体制を評価する「地域支援・医薬品供給対応体制加算」「地域支援・外来医薬品供給対応体制加算」を新設。流通改善ガイドライン遵守要件を含む施設基準を解説。
令和8年度診療報酬改定では、後発医薬品の使用促進に関連する加算体系が見直されます。
具体的には、これまでの後発医薬品使用体制加算(入院初日)および外来後発医薬品使用体制加算(診療所向け)が廃止され、医薬品の安定供給に資する体制を評価する「地域支援・医薬品供給対応体制加算」および「地域支援・外来医薬品供給対応体制加算」が新設されます。
本記事では、新加算の点数・施設基準や、新たに追加された流通改善ガイドラインの遵守要件、現行制度からの変更点について解説します。
1. 改定の全体像:何が変わるのか
今回の改定により、後発医薬品の使用促進に関連する加算体系は以下のとおり再編されます。
(入院・A243)
医薬品供給対応体制加算
(入院)
使用体制加算
(診療所)
外来医薬品供給対応体制加算
(診療所)
点数および後発医薬品使用割合の基準値は現行と同一ですが、加算の名称・趣旨が「後発医薬品の使用促進」から「医薬品の安定供給に資する体制」の評価へと転換されます。
【変更点】
施設基準(通知)に「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」の内容を踏まえた流通改善に関する要件(単品単価交渉、頻回配送の抑制、返品の適正化)及び地域フォーミュラリの望ましい要件が新たに追加されました。
2. 改定の背景:後発医薬品の供給不安と流通改善
令和8年度改定における本加算の見直しの背景には、以下の状況があります。
【改定の趣旨】
後発医薬品の使用が定着しつつある一方、主に後発医薬品において不安定な供給が発生することが課題となっており、これにより医療機関及び薬局において追加的な業務が生じている状況を踏まえ、医薬品の安定供給に資する体制について、新たな評価を行う。
これまでの経緯
後発医薬品の使用割合は高くなっている一方で、後発医薬品の供給不安が長期化しています。医療機関では代替品の確保等、追加的な業務負担も増大しています。
こうした状況下で、厚生労働省は令和6年3月に「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」(流通改善ガイドライン)を改訂し、流通関係者が取り組むべき適正な在庫確保や配送、返品に関する規定を示しています。
一方、それら規定の認知度は低く、今回の改定では、流通改善ガイドラインの趣旨を診療報酬の施設基準に反映させることで、医療機関を含めた医薬品の安定供給体制構築を促す仕組みとなっています。
3. 地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)の詳細
病院及び有床診療所の入院患者を対象とする加算の詳細を解説します。
3-1. 点数と算定要件
【(新)地域支援・医薬品供給対応体制加算】
算定対象は、入院基本料(特別入院基本料等含む)又は特定入院料のうち本加算を算定できるものを現に算定している患者です。
3-2. 施設基準(告示)
施設基準の告示における各加算の主な要件は以下のとおりです。
| 要件 | 加算1 | 加算2 | 加算3 |
|---|---|---|---|
| 後発医薬品の使用促進体制 | ○ | ○ | ○ |
| 後発医薬品使用割合 | 90%以上 | 85%以上 | 75%以上 |
| カットオフ値要件 | -(廃止) | -(廃止) | -(廃止) |
| 供給不足時の対応体制 | ○ | ○ | ○ |
| 院内掲示(使用促進の取組み・供給不足時の対応等) | ○ | ○ | ○ |
| ウェブサイト掲載(院内掲示事項) | ○ | ○ | ○ |
| 地域における医薬品の安定供給体制 | ○(新設) | ○(新設) | ○(新設) |
後発医薬品使用割合の基準は現行と同一です。
カットオフ値要件の廃止及び地域における医薬品の安定供給体制の新規追加が変更点となります。
3-3. 施設基準(通知)― 流通改善ガイドライン遵守要件
施設基準(通知)において影響が生じるのが、流通改善ガイドラインの遵守を踏まえた以下の要件です。
【施設基準(通知)に追加された流通改善関連要件】
上記(7)~(9)は遵守事項として明記されており、(10)は努力義務(「望ましい」)として位置づけられています。
(7)~(9)は流通改善ガイドラインで明記された規定であり、(10)は地域フォーミュラリの有効性を反映した望ましい要件と考えられます。
その他の施設基準(通知)の要件
上記の流通改善関連要件に加え、以下の要件も設けられています(これらは現行の後発医薬品使用体制加算の通知要件と同趣旨のものです)。
| 通知項目 | 内容 |
|---|---|
| (1) 後発品採用決定体制 | 病院:薬剤部門で品質・安全性・安定供給体制の情報を収集・評価し、薬事委員会等で採用決定する体制 有床診療所:薬剤部門又は薬剤師が同様の体制を整備 |
| (2) 後発品使用割合 | 加算1:90%以上 / 加算2:85%以上90%未満 / 加算3:75%以上85%未満 |
| (3) 院内掲示 | 入院受付・外来受付・支払窓口の見やすい場所に後発品使用推進の掲示 |
| (4) 供給不足時の体制 | 処方変更等に適切に対応できる体制の整備 |
| (5) 掲示内容 | 供給不足時の対応体制、薬剤変更の可能性、患者説明の掲示 |
| (6) ウェブサイト掲載 | (3)・(5)の掲示事項の原則ウェブサイト掲載(HPを有しない場合は除く) |
施設基準(通知)においても、カットオフ値要件は廃止されています。
4. 地域支援・外来医薬品供給対応体制加算(診療所)の詳細
院内処方を行う診療所を対象とする加算の詳細を解説します。
4-1. 点数と算定要件
【(新)地域支援・外来医薬品供給対応体制加算】
4-2. 施設基準(告示・通知)
基本的な構造は入院向けの加算と同様ですが、対象が診療所に限定されている点が異なります。
| 要件 | 加算1 | 加算2 | 加算3 |
|---|---|---|---|
| 対象施設 | 診療所(院内処方を行っている) | ||
| 後発医薬品使用割合 | 90%以上 | 85%以上 | 75%以上 |
| カットオフ値要件 | -(廃止) | -(廃止) | -(廃止) |
| 供給不足時の対応体制 | ○ | ○ | ○ |
| 院内掲示・ウェブサイト掲載 | ○ | ○ | ○ |
| 地域における医薬品の安定供給体制 | ○(新設) | ○(新設) | ○(新設) |
また、施設基準(通知)において入院同様に、流通改善ガイドラインの遵守を踏まえた以下の要件が追加されています。
【施設基準(通知)に追加された流通改善関連要件】
【入院向け加算との主な違い】
- 対象が診療所に限定されていること
- 算定単位が「入院初日」ではなく「1処方につき」であること
- 後発品採用決定体制が「薬剤部門又は薬剤師」による体制で足りること
5. 現行制度との比較(現行 vs 改定後)
入院向け加算の比較
| 項目 | 現行 (後発医薬品使用体制加算) | 改定後 (地域支援・医薬品供給対応体制加算) |
|---|---|---|
| 加算の趣旨 | 後発医薬品の使用促進 | 医薬品の安定供給に資する体制の評価 |
| 加算1 | 87点(90%以上) | 87点(90%以上) |
| 加算2 | 82点(85%以上) | 82点(85%以上) |
| 加算3 | 77点(75%以上) | 77点(75%以上) |
| 算定時期 | 入院初日 | 入院初日 |
| 後発品使用促進体制 | ○ | ○ |
| 供給不足時の対応体制 | ○ | ○ |
| 院内掲示・ウェブサイト掲載 | ○ | ○ |
| カットオフ値要件 | ○ | -(廃止) |
| 地域の安定供給体制 | ― | ○(新設) |
| 単品単価交渉の原則 | ― | ○(新設) |
| 頻回配送・急配の抑制 | ― | ○(新設) |
| 返品の適正化 | ― | ○(新設) |
| 地域連携・情報共有 | ― | 望ましい(新設) |
外来向け加算(診療所)の比較
| 項目 | 現行 (外来後発医薬品使用体制加算) | 改定後 (地域支援・外来医薬品供給対応体制加算) |
|---|---|---|
| 加算の趣旨 | 後発医薬品の使用促進 | 医薬品の安定供給に資する体制の評価 |
| 加算1 | 8点(90%以上) | 8点(90%以上) |
| 加算2 | 7点(85%以上) | 7点(85%以上) |
| 加算3 | 5点(75%以上) | 5点(75%以上) |
| 算定単位 | 1処方につき | 1処方につき |
| カットオフ値要件 | ○ | -(廃止) |
| 流通改善ガイドライン遵守要件 | ― | ○(新設) |
| 地域の安定供給体制 | ― | ○(新設) |
6. まとめ
【改定のポイント一覧】
- 後発医薬品使用体制加算・外来後発医薬品使用体制加算を廃止:名称・制度趣旨を見直し
- 地域支援・医薬品供給対応体制加算を新設(入院:87/82/77点):医薬品の安定供給に資する体制を評価
- 地域支援・外来医薬品供給対応体制加算を新設(外来:8/7/5点):診療所向けの安定供給体制を評価
- 点数・使用割合基準は現行と同一:加算1(90%以上)、加算2(85%以上)、加算3(75%以上)
- カットオフ値要件は廃止:全調剤薬剤のうち後発医薬品の割合が五割以上要件の廃止。
- 流通改善ガイドライン遵守要件を追加:単品単価交渉の原則、頻回配送の抑制、返品の適正化を施設基準に明記
- 地域の安定供給体制要件を追加:地域連携体制が求められる
今回の改定は、医薬品の安定供給体制構築に向けて、施設基準に流通改善ガイドライン等の規定が追加されました。点数や使用割合要件に変更はありませんが、流通改善に関する施設基準への適合状況を確認し、必要な体制整備を進めることが重要となります。
特に、卸売販売業者との取引慣行(単品単価交渉、配送依頼、返品等)の見直しは、日常的な業務オペレーションに問題ないか確認のうえで、業務フローの改善が必要となります。
改定に合わせた施設基準管理は、
管理体制の見直しから
加算体系の再編に伴い、届出・施設基準・業務フローの見直しが必要です。
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