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連載「社会福祉法人会計基準の改正(令和9年4月施行予定)」第3回
勘定科目の追加|こども誰でも通園制度(だれ通)とサービス区分間繰入金
社会福祉法人会計基準の改正案(令和9年4月1日施行予定)では、いくつかの勘定科目が追加されます。社会福祉法人の実務に関わるのは、こども誰でも通園制度(だれ通)の収入を処理する科目と、サービス区分間の繰入や固定資産の移管を処理する科目です。
第3回では、追加される科目の位置づけと、仕訳例、会計基準適用に向けて準備しておくことを解説します。
この記事は、令和8年9月30日に第6回社会福祉法人会計基準等検討会で公表された改正案に基づいて執筆しています。実際の適用にあたっては、会計基準等をご確認ください。
主な追加される勘定科目
| 計算書 | 区分 | 追加される科目 |
|---|---|---|
| 資金収支計算書 | 事業活動による収入 | 大区分「保育事業収入」に、中区分「乳児等支援給付費収入」、小区分「乳児等支援給付費収入」「利用者負担金収入」 |
| 事業活動計算書 | サービス活動増減による収益 | 大区分「保育事業収益」に、中区分「乳児等支援給付費収益」、小区分「乳児等支援給付費収益」「利用者負担金収益」 |
| 事業活動計算書 | 特別増減による収益 | 大区分「サービス区分間繰入金収益」「サービス区分間固定資産移管収益」 |
| 事業活動計算書 | 特別増減による費用 | 大区分「サービス区分間繰入金費用」「サービス区分間固定資産移管費用」 |
このほか、社会福祉連携推進法人との資産の貸借に関する科目等も追加されます
こども誰でも通園制度(だれ通)の勘定科目
こども誰でも通園制度は、保育所等に通っていない6か月から満3歳未満の子どもが、一定時間までの利用可能枠の中で通園できる制度で、令和8年度から子ども・子育て支援法に基づく給付として全国で実施されています。従来は社会福祉法人会計基準に専用の勘定科目がありませんでしたが、改正案では、保育所等と併設されることが多いため保育事業として処理する点整理したうえで、新たに次の科目を設けます。
| 大区分 | 中区分 | 小区分 | 説明(課長通知 改正案) |
|---|---|---|---|
| 保育事業収入 | 乳児等支援給付費収入 | 乳児等支援給付費収入 | 児童福祉法第6条の3第23項に規定する乳児等通園支援事業収入 |
| 保育事業収入 | 乳児等支援給付費収入 | 利用者負担金収入 | 乳児等通園支援事業における利用者等からの利用者負担金(保育料)収入 |
事業活動計算書では、「保育事業収益」、「乳児等支援給付費収益」、「利用者負担金収益」となります。
この構成は、既にある中区分「施設型給付費収入」(小区分「施設型給付費収入」「利用者負担金収入」)と同じ構成であり、「利用者負担金収入」という同じ名前の小区分が、二つの中区分の下に並ぶことになります。
仕訳イメージ
こども誰でも通園制度の給付費120,000円を市町村に請求し、保護者から利用者負担金18,000円を現金で受け取った。
| 取引 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 給付費の請求 | 事業未収金 120,000円 | 乳児等支援給付費収益 120,000円 |
| 保護者からの受取り | 現金預金 18,000円 | 利用者負担金収益(乳児等支援給付費) 18,000円 |
資金収支計算書でも、同じ金額を「乳児等支援給付費収入」と「利用者負担金収入(乳児等支援給付費)」に計上します。
サービス区分間の繰入金・固定資産の移管
サービス区分は、拠点区分の中で複数の事業を行っている場合に、法令等の要請により事業ごとの事業活動や資金収支の状況を把握するために設けるものです(課長通知 5)。
これまでとの違い
資金収支計算書には、以前から「サービス区分間繰入金収入」「サービス区分間繰入金支出」の科目が定められており、附属明細書「サービス区分間繰入金明細書」(別紙3(⑬))もあります。一方、事業活動計算書には、サービス区分の間の繰入や固定資産の移管を処理する科目が定められていませんでした。改正案は、事業活動計算書の特別増減の部に、次の4つの科目を加えます。
| 科目 | 説明(課長通知 改正案) |
|---|---|
| サービス区分間繰入金収益 | 同一拠点区分内における他のサービス区分からの繰入金収益 |
| サービス区分間繰入金費用 | 同一拠点区分内における他のサービス区分への繰入額 |
| サービス区分間固定資産移管収益 | 同一拠点区分内における他のサービス区分からの固定資産の移管による収益 |
| サービス区分間固定資産移管費用 | 同一拠点区分内における他のサービス区分への固定資産の移管額 |
仕訳イメージ:運転資金の繰入
Aサービス区分からBサービス区分へ、運転資金1,000,000円を繰り入れる。
| サービス区分 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| A(繰入元) | サービス区分間繰入金費用 1,000,000円 | 現金預金 1,000,000円 |
| B(繰入先) | 現金預金 1,000,000円 | サービス区分間繰入金収益 1,000,000円 |
資金収支計算書では、繰入元が「サービス区分間繰入金支出」、繰入先が「サービス区分間繰入金収入」となります。拠点区分全体で見れば資金は動いていないため、拠点区分資金収支明細書と拠点区分事業活動明細書の内部取引消去欄で相殺し、拠点区分の合計には残りません。
仕訳イメージ:固定資産の移管
Aサービス区分で使っていた車両(帳簿価額300,000円)を、Bサービス区分に移管する。
| サービス区分 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| A(移管元) | サービス区分間固定資産移管費用 300,000円 | 車輌運搬具 300,000円 |
| B(移管先) | 車輌運搬具 300,000円 | サービス区分間固定資産移管収益 300,000円 |
なお、介護保険、障害福祉、保育などの事業の資金は、それぞれの資金使途制限の通知で、他の事業へ繰り入れられる範囲が定められています。サービス区分の間の繰入も、その範囲の中で行う必要があります。
令和9年度に向けて準備すること
- 予算:資金収支予算書の勘定科目は、資金収支計算書の勘定科目に準拠することとされています(課長通知 2(1))。こども誰でも通園制度を実施する法人は、令和9年度の予算に「乳児等支援給付費収入」を設ける必要があります。
- 会計ソフト:追加される科目を科目マスタに登録する等の対応が必要となります。
- 経理規程:経理規程に勘定科目表を付けている場合は、追加される科目を反映します。
よくあるご質問
- 問こども誰でも通園制度の収入は、保育事業の科目で処理するのですか。
- 答改正案では、保育所等と併設されることが多いため一般的には保育事業として処理するとされ、大区分「保育事業収入」の中に中区分「乳児等支援給付費収入」を設けます。
- 問「利用者負担金収入」は既にある科目と同じものですか。
- 答名前は同じですが、属する中区分が違います。既にある科目は施設型給付費収入の下、追加される科目は乳児等支援給付費収入の下に置かれます。
- 問資金収支計算書にも、サービス区分間繰入金の科目が新しくできるのですか。
- 答資金収支計算書には以前から「サービス区分間繰入金収入・支出」があります。今回追加されるのは、事業活動計算書の「サービス区分間繰入金収益・費用」と「サービス区分間固定資産移管収益・費用」です。
- 問サービス区分が一つしかない拠点区分にも関係しますか。
- 答サービス区分の間の取引が生じないため、サービス区分間の4つの科目は使いません。こども誰でも通園制度の科目は、制度を実施していれば関係します。
まとめ
こども誰でも通園制度の科目は、施設型給付費と同じ形で保育事業収入の中に置かれます。同じ名前の「利用者負担金収入」が二つになるため注意が必要です。
サービス区分間の繰入金と固定資産移管の科目は、資金収支計算書にはあって事業活動計算書になかった科目を補うものです。複数のサービス区分を持つ拠点では、取引の記録と決算時の相殺消去手順の確認が望まれます。
次回は、これらの科目を相殺するために見直される、拠点区分事業活動明細書の様式を解説します。